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幸せの時間 あらすじ 29話 ブログトップ

幸せの時間 あらすじ 29話 [幸せの時間 あらすじ 29話]

幸せの時間 あらすじ 29話

「・・中絶?!」

良介は奈津との経緯を皆に話した。
香織はショックで泣きだしてしまった。

「これで良かったんだ。今は辛いだろうが、傷はいつか癒える」

達彦はそう言って良介の肩を抱いてやった。

「赤ちゃん、楽しみにしてたのに・・」

「生まれたらすぐに抱っこさせてもらおうと思ってたのに・・」

香織は自分の事のように悲しんでいた。
智子はそんな香織の心が伝わったのか、そっと抱き寄せていた。

机の中から奈津に描いてもらった自分の似顔絵を見ながら
良介は思い出に浸っていた。
あの楽しかった日々はもう帰って来ないのだ。

その絵を両手で握り潰してたちつくしていた。


「こんな事なら、無理にでも後期試験受けさせとくんだったな」

「しかし、良介もまだまだ子供だな」

達彦がベッドに腰掛けながらそう言った。
智子は鏡台に向かったまま黙って聞いていた。

「あの子も物事がよくわかってる。」

「良介じゃ拉致があかないから自分で決めたんだろ?」

智子は違うと思った。
中絶した事は奈津にとっても苦渋の決断だったのではないのか。
それは女にしかわからない苦しみだと思った。

「・・あの子だって傷ついたでしょうに・・・良介以上に」

「大変な事よ。女の子にとって中絶って・・どんな理由にせよ相当辛い思いしてるはず」

「なんであの子の肩を・・・説得しに行かなくて済んだんだぞ?」

「お前だってホッとしてるんじゃないのか」

智子はお互いの意見の食い違いにふと感じる事があった。
達彦の方に振り返って訊いてみた。

「私達って、前はどんな会話してたっけ・・・少なくとも前は噛み合ってた」

「ちゃんとお互いの事思いやって、話してた気がする」

「今は遠慮も気遣いもなく、本音をぶつけあって・・・どっちが正しいのかしら」

智子は以前は二人で夫婦の理想をうわべだけで演じていただけだと言った。
それを一生続けていくのと、全てを捨てて本音で生きるのとどっちが正しいのかと訊いた。

「確かに、最近のお前はズケズケと物を言うようになった。」

「俺は最近のお前が何を考えているのか、サッパリわからん」

「時々隣のベッドに知らない女が寝ているんじゃないかとゾッとする」

達彦はどうやら、夫婦を演じていく方が好みのようだった。
それが正しいとは言えなかったようだった。

「・・・私もよ・・・私も同じ・・・」

智子も全く同じ気持だった。
まるで、二人の間がリセットされてしまったようだった。


智子は思い切って奈津を訪ねる事にした。
良介の事もあったが、何より奈津の体が気になった。

しかし、いくらチャイムを鳴らしても反応が無い。
どうやら、留守のようだった。

諦めて帰ろうとした時に帰ってきた奈津とはち合わせしてしまった。

「奈津さん・・・」

奈津は智子の姿を認めると慌てて逃げようとした。

「待ちなさい!手術して間もないんでしょ。だめよ、安静にしてなくちゃ」

奈津は黙って立っていた。


奈津の部屋に入って智子は奈津の前にお弁当を広げて見せた。
それは智子が奈津の体を思い、一生懸命作った物だった。

「あんまり食べてないんじゃないかと思って・・・お腹に優しい物ばかりだから」

「お台所借りるわね。簡単なお吸い物作ってあげる」

智子は持参したポットを持って台所へ行き即席の椀物を作り始めた。

「・・・・・どうして」

奈津はやっと重い口を開いた。

「体を大事にしてほしいの、大変な思いしたんだから・・」

智子の優しさが身にしみた。このまま甘えてしまいたかった。
けれど、色んな想いが奈津の心を引き止めていた。

「関係ないじゃないですか。私の体がどうなろうと・・・万々歳だったんじゃないですか?」

「赤ちゃんいなくなって、良介が帰ってきて・・・」

以前の智子ならそうだったかもしれなかった。今は少し違っていた。

「誰が喜ぶと思う?」

「一番に喜ぶのはおばさんでしょ?あんなに嫌がってたんだから」

そうだった。
いくら気が動転していたとはいえ、あの言葉はいけなかった。

「酷い事言ったわ。良介の子じゃ無いんじゃないかって・・・ごめんなさい」

「その罪滅ぼしがこのお弁当?こんな物持ってきて悪者になりたくないって事?」

「・・・そう思われても仕方ないわね・・・」

智子は否定しなかった。

「正直、信じられなかった、あなたが赤ちゃん堕ろしたって聞いて」

「一人で育てるって言ったとき思ったの。この子の心はもうお母さんになってるって」

「気付かされたの。もう親の出る幕じゃないって」

「辛い選択だったはずよ。もしかして良介のために」

「自分が勝手にしただけ、自分さえよけりゃそれでいい、私はそういう人間なんだ」

「違うわ!そうじゃないと思う。心配してくれたんでしょ?私のこと・・・」

奈津はなんとかして智子の機嫌を損ねて帰ってもらいたかった。
しかし、どうやら負けたのは奈津のようだった。

智子は平静を保てなくなりそうだった。
慌てて話を吸い物の方へ振って気を取り直そうとした。

智子が奈津の前にお椀を置いた瞬間、奈津の様子がおかしくなった。

「どうしたの?」

智子が訊いたが、奈津は慌てて台所へ行ってえずき始めてしまった。

「もしかして、あなた・・・いるのね?赤ちゃん、お腹に・・・」

「どうして、中絶したなんて嘘を・・・やっぱり良介のためね・・・」

智子にバレてしまった。
奈津は中絶などしていなかった。

奈津は自分のせいで良介の未来を潰したくないと思い、中絶したと嘘をつき
良介を家に帰したのだ。

そう、家族なんて要らないなんて嘘までついて・・・

「そう言えば、あの子は怒って別れようとする・・・そう思って」

「私は幸せになっちゃいけないんだ!」

「良介と結婚して、赤ちゃん産んで、そんな幸せ許されないから」

「どうして?!」

奈津は心に抱えた闇を少しづつ話し始めた。

「声が聞こえた、身の程をわきまえろ。自分がどんな女かわかってるだろって、あの人が」

「自分は醜い、汚れてる!」

「良介の気持ちが嬉しくて、昔の事が許されたような気になって」

それは智子の知っている堂々とした奈津ではなかった。
智子はなぜそんなに自分を責めるのか、援助交際のことを気にしているのかと訊いた。

「腐ってるんだ!根っこが!どうやったって抜け出せないんだ!」

「妊娠してから夢を見るようになって・・逃げても追いかけられて・・」

「お前は呪われてる・・周りに人を不幸にする・・」

「絶対に幸せにはさせないって・・・あの女が・・・」

奈津はひどく怯えていた。
両手で耳を塞ぎ目を閉じてガタガタと震えていた。

「誰なの?あの人って・・・あの女って・・・」

智子はなんとか奈津を落ち着かせようと声をかけた。

「・・・私を・・・産んだ人・・・」

「お母さん・・・?!」

意外な言葉に智子は言葉を失ってしまった。

「本当は私は子供を産んじゃいけないのかもしれない・・・でもこの子だけは守りたい」

「私が子供を産むって事は、おばさんだけの胸にしまっておいて」

「良介にも誰にも言わないで・・・それがみんなの幸せだから・・お願いします・・・」

奈津は複雑な胸の内を明かし、智子に頭をさげた。


達彦のところに片岡の秘書から電話がかかってきた。

「かしこまりました、すぐに伺います」

「いい話かね?」

楠田が色めきだって近づいてきた。

「片岡先生がすぐに会いたいと・・・先日、付け届けをしておきましたので、その効果が」

「付け届け?」

「大好物の生もの、とびっきり生きのいい・・・」


片岡は達彦の顔を見るといきなりため息をついた。

「お待ちしておりました」

「どうなってるんだ?」

「はあ?」

「あの女はどうなっているんだと訊いてるんだ」

片岡は燿子に何度も会っているのに一度も期待に答えてくれないと言った。

「君は本気で私を動かすつもりがあるのかね?なんとかしたまえ!」

それだけ言うと片岡はさっさと部屋を出ていってしまった。

達彦は急いで燿子の店に行き、客の相手をしている燿子を捕まえた。

「話がある」

「どうなさったの?浅倉さん。血相変えて・・・」

ママの珠子が出てきて燿子との間に割って入った。
達彦はここでは話ができないので表へ行こうと言ったが燿子はうんとは言わなかった。

「浅倉さん?私の時間はお金で買われているの、お客様としてならお相手しますわ」

悔しいが正論だった。
達彦は仕方なく燿子を指名しテーブルについた。

「片岡先生からクレームがあった。納得して引き受けたんじゃないのか」

「俺を人身御供にまでして・・・なんでちゃんと相手をしない!」

「・・・そこは駆け引きですもの。安売りしたらあっという間に飽きられちゃう」

燿子は贅沢三昧させてくれるパトロンが欲しいのだと言った。
そのために今は焦らしているのだと。

「焦らして、焦らして食いつかせる。それまではよだれをタップリ垂らしていただきます」

グラスの中で氷が回って軽やかな音をたてた。

それは達彦を地獄に誘う合図であった。



智子の所へ封筒が届いていた。それには差出人が無かった。
智子にはそれが何であるかわかっていた。
リビングに戻り封筒の中から書類と写真を取り出した。

書類には「報告書」と書かれていた。
写真には女性が一人写っていた。

それは、奈津の母親に関する書類だった。
智子が興信所に頼んで奈津の母親を探してもらったのだ。

智子はその資料に書かれた住所を訪ねてみる事にした。
訪ねた先には小料理屋があった。

「ごめんください」

智子はその店の扉を開け中に入っていった。
いきなり何かが飛んできた。
店の奥で一人の女性が客に出す料理を作っていた。
それは確かに写真に写っていた女性だった。

「あたしゃ、知らないよ!あんたの亭主なんて、ねじ込むなら他の女の所へいっとくれ」

「何か勘違いされてるんじゃ・・・北島奈津さんのお母さんですよね」

「娘さんの事でちょっと・・・」

その女性は何も答えず黙々と料理を続けていた。

「あの・・・」

「娘なんかいませんよ!」

女性は智子を遮ってそう言った。

「でも・・・北島喜代美さんですよね?ちゃんと調べてきたんです」

「・・・なんなの?あんた・・」

「浅倉と申します。実は息子が奈津さんとお付き合いさせて頂いてて」

「あんたの息子と?」

喜代美はどうでもいいような感じだった。

「実はもうおなかに赤ちゃんが・・・」

「それはお気の毒・・たぶらかされたんでしょ、あのアバズレに」

「さっさと別れさせたほうがいいですよ。あれは疫病神ですから・・・」

智子はビックリしてしまった。これが母親の言う言葉だろうか。

「どうしてそんな言い方を・・・たった一人の娘さんですよね」

「淫売ですよ、あれは。生まれついての」

喜代美はあざ笑うように智子に向かって言った。

「淫売・・・」

「小さい時に母親の男寝取ったんだから・・・とんでもない性悪でしょう」

「あれがどうなろうと知ったこっちゃありません。どうぞ好きにしてください」

状況は智子の理解を超えていた。
いったい、この母娘に何があったというのだ。

「ママ、やってる?」

「あらあ、たけちゃん。早いじゃない」

店に客が入ってきた。
十分な話は聞けないと思った智子はそのまま店を後にした。


その夜、食卓を囲みながら智子は良介を見ていた。
今の良介は抜け殻のようだった。

夕食後、智子は良介の部屋へ行き良介に向かって言った。

「あなた、このまま吹っ切れるの?奈津さんの事。それとも・・」

「どうもこうも、あんあ裏切り方されたら・・怖いよ。人を信じられなくなりそうで」

「このままトラウマになって女嫌いになるかもね」

「トラウマ・・・ねえ、奈津さんのお母さんの事聞いたことある?」

トラウマという言葉に智子は何か引っかかった。
良介なら何か知っているかもしれないと思った。

「親の話は訊いても何も話してくれなかった。」

「今思うと本気で心を開いてくれてなかったって事なんだろうね」

「でも・・・」

余計な事を言うと奈津との約束を守れなくなってしまう。
今の良介には知られるわけにはいかなかった。

智子はそのまま良介の部屋をでた。
良介は智子が奈津に関わりたがる事が不思議でならなかった。

次の日、智子は再び奈津の部屋を訪ねた。
智子はまた奈津の前にお弁当を広げて見せた。

「今日は妊婦さんメニューにしてみたの」

「なんでまた・・・もう私に関わらないでください」

奈津は相変わらず智子を拒否しようとする。
心の奥底に刻み込まれた傷は簡単に奈津を解放しようとはしなかった。

「それはできない。」

「あなたのお腹に赤ちゃんがいる以上、私はその子のおばあちゃんだもの」

「あなたと赤ちゃんに何が出来るか考えたら・・・これしかなかった」

「食べてね、後でゆっくり」

智子はお弁当にもう一度蓋をして台所へ置いた。

奈津が立ち上がって智子に一枚の絵を持ってきた。
そこには綺麗な色で智子が作ったお弁当が描かれていた。

「これ、この間の?綺麗、本物より美味しそう。絵もいいわねえ。暖かくて」

奈津は何も言わずに立っていた。
褒めてほしかったのかもしれない、「上手ね」って頭を撫でてほしかったのかもしれない。

それは幼子が母のために一生懸命描いた絵を見せているようだった。

「初めてだった。誰かが私のために作ってくれたお弁当食べるの初めてだった」

「奈津さん」

奈津は照れたように横を向いてしまった。

「お母さんは作ってくれなかったのね・・・あなたお母さんが怖いんじゃないの?」

「自分はお母さんに憎まれてる、その思いが心に染み付いて」

「あなたをがんじがらめに縛り付けているんじゃないの?」

心なしか奈津の表情が険しくなったようだった。

「会ったの・・・お母さんに。あなたの事もっと知りたくて」

奈津の表情が激変した。

「どうして・・・どうしてそんな勝手な事をするんだよ!」

奈津は逆上して智子を突き飛ばしてしまった。
智子は大きな試練の前に立たされてしまった。

お互いを認め合うための大きな試練。

癒されぬ傷に触れられて、少女はその痛みに悲鳴をあげていた。
母でもない者が愛を持って少女に巣食う悪魔に立ち向かおうとしていた。
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