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幸せの時間 あらすじ 25話 [幸せの時間 あらすじ 25話]

幸せの時間 あらすじ 25話

今日は良介の二次試験の日だった。
智子はいつもより腕を奮って良介の弁当を作った。
達彦も香織も家族みんなが良介を激励で見送ってくれた。

しかし、良介は奈津の事が頭から離れなかった。
励ましてくれた家族には悪いと思ったが、試験会場を目の前にして立ち止まってしまった。

奈津のつわりは相変わらずきつかった。
台所で吐き気と戦っていると玄関のチャイムが鳴った。

訪ねて来る人などいないはずだとおもいながら、ドアを開けると
そこには良介が立っていた。

「どうして?! 早く行かないと試験に間に合わなくなっちゃうよ」

「・・・大事な話がある。俺・・・大学行くのやめた」

良介にはそれしか方法がなかった。
自分の将来よりも、自分の愛した女性と家族になる命を優先させた。


達彦はその日、喫茶店で燿子と待ち合わせをしていた。
燿子と政治家の片岡を橋渡しするためだった。

なぜ今になって燿子と関わらねばいけないのかと苦しかった。
燿子との不思議な繋がりに恐怖さえ覚える達彦だった

ほどなく燿子がやって来た。
赤いコートをまとい、その艶やかな装いはまさに夜の女だった。

「随分はやいのね」

燿子はそう言って達彦の前に座った。

「申し訳ないけど、あまり時間無いんです。同伴のお客さん待たしてるので・・」

「すっかり夜の女だ・・・」

それは達彦の正直な感想だった。

「それで?お話は?普通じゃ考えられないわよね。私に頼み事なんて」

「まったく、その通りだ」

達彦は燿子に片岡と個人的に会って欲しいと頼んだ。

「やっぱり・・・そういう事」

「社運がかかってるんだ。頼む」

頭を下げる達彦を見ながら燿子は寂しそうに笑っていた。
万に一つの可能性も無いとは思っていたが燿子は達彦に期待していた。

「社運?先生の機嫌をとるためにシラッと私を売る・・・そんな人なのね」

「そんな事ないよ。ここへ来る迄ずっと悩んで」

「なんで私が犠牲になんか」

「あなたが出世して、奥さんや子供を喜ばせるためにこの私が・・・」

燿子の言うとおりだった。
達彦はカバンから封筒を取り出し、燿子の前に置いた。

「100万ある、成功報酬は別に渡す。」

「ポケットマネー?」

以前にも同じシチュエーションがあった。
あの時も達彦は自分のポケットマネーを燿子に差し出し頭を下げた。

思い出したくない記憶だった。

「ああ、これは取引だ。仕事なんだよ。」

「俺の知ってる燿子ではなく、夜の世界のプロとしての君にビジネスとして頼んでるんだ」

何もかもが逆だった。
達彦の理屈には燿子が従うべきものは一つも無かった。

「都合の良い事言わないで!」

燿子はコップの水を達彦に浴びせた。

「私は私よ、夜の商売をしようが、どうしようがあなたを愛し捨てられた燿子なの」

「別れる前なら、少しでも愛してくれていたなら、あなたはこんな事頼みはしなかった」

「でも・・女はあの頃のように、あなたの愛を感じていたら」

「あなたのためなら、他の男の前に体を投げ出す事もできたかも、女ってそういう生き物よ」

燿子は立ち上がると振り返る事もなく悠々と店を出ていった。
そんな後ろ姿を達彦は悲痛な面持ちで見送っていた。


もうすぐ夕飯だというのに良介はまだ帰っていなかった。
智子と香織はリビングで良介の帰りを待っていた。

「遅いわねぇ。もう帰って来てもいい頃なのに・・・携帯かけてみようか」

「・・・急かさないほうが・・・いいんじゃない?」

智子は今日までの良介の苦労を労い、食卓一杯のごちそうを作っていた。

「たぶん、奈津さんのところだと思う。」

「わかってるわよ、そんな事ママだって」

香織はそっと智子の顔を見つめた。違うとは言えない香織だった。

「でもね、ママの気持ちちゃんとわかってくれてたら夕飯までには帰ってきてくれる」

「行ったら簡単には帰ってこれない。二人で話さなきゃいけない事いっぱいあると思うから」

「なんなの?話さなきゃいけない事って。これからはいくらだって会えるのよ?」

「そうじゃないのよ・・・大事な話なんだから」

「どういう事?香織・・・あなた、何か知ってるの?」

そこまで言えば智子が不審がるのも当たり前だった。
香織が話すべきか悩んでいるところへ良介が帰ってきた。

「良介おかえり、遅かったわね。」

出迎えた智子は次の瞬間顔から笑が消えた。
良介は奈津を連れて来ていた。

「どうして・・・?」

智子の心に得体のしれない不安が湧き上がるのだった。


奈津はとりあえずリビングに通された。

「連れて来るなら言ってもらわないと・・・」

智子はそう言って香織に奈津の食器を用意するように言った。
智子に奈津が訪ねて来た理由など想像できるはずがなかった。

「良介、あたしやっぱり・・・」

尻込みする奈津を目で静止し良介は智子に向かって言った。

「おふくろ。俺、奈津ちゃんと結婚することにした。」

智子が手にしていた皿が床に落ちて大きな音とともに割れた。

「今なんて・・・?」

「奈津ちゃんと結婚する。だから大学に行かないで仕事を探す」

智子は良介の言ったことが理解できなかった。
ただ、考え直させる事だけはわかった。

「試験失敗したのね。でも後期試験もあるし、私立でもいいし最悪浪人しても」

「今日の試験、受けなかった。そのまま奈津ちゃんのところへ行った」

智子の顔色が変わった。

「そんな、それじゃお弁当・・・」

智子は良介のバッグから弁当箱を取り出し、包を開いた。
小さな紙が包からこぼれて床に落ちた。

智子は弁当箱の蓋を開けて愕然とした。
母の想いがいっぱい詰まった弁当はまったく手をつけた様子がなかった。

床に落ちた紙を香織が拾い良介に渡した。

そこには母としての智子の想いが綴られていた。
試験が終わったら奈津に会いに行ってもいいと書かれていた。

「ごめん。こんな手紙入ってるなんて思わなくて」

「どうしてなの?人生棒に振ってその若さで結婚なんて・・・」

そのとき香織が衝撃の言葉を発した。

「赤ちゃん・・・理由があるとしたらそれしかないよね?赤ちゃんが出来たんでしょ?」

「赤ちゃん・・・?そうなの?」

戸惑いを隠せない智子は奈津に向かって訊いた。
奈津は黙って頷いた。

「さっき、二人で病院へ行ってきた。2ヶ月だって」

良介の言葉が智子にとどめをさした。智子は真っ白になってしまった。

「ごめんなさい。良介には試験に行ってって言ったんです」

「なんで奈津ちゃんが謝るんだ」

「だって、私のせいで・・・」

智子は二人の言葉など聞いていなかった。肯定と否定が智子の頭を駆け巡っていた。
智子の平静が崩れるのにさほど時間はかからなかった。

「いやあ!!・・嘘よ赤ちゃんなんて・・・何かの間違いだわ。ありえない!!」

両耳を塞ぎ智子はワナワナと震えていた。
香織が智子の肩を抱き支えていた。

「本当なんだ。奈津ちゃんのお腹にいるんだ。祝福してよ。おめでとうって言ってよ!」

「・・・冗談じゃない・・・冗談じゃないわよ!このバカ息子!!」

良介のあまりの言葉に智子は感情を抑えきれなくなっていた。

「今日まで何のために育てて来たと思ってるの・・・認めるんじゃなかった・・・」

「もう何もかもめちゃくちゃだわ・・・」

智子はもう立って居られずにその場へ座り込み泣き崩れてしまった。
そこへ丁度、達彦が帰ってきた。

「どうしたんだ智子、外まで丸聞こえだぞ」

「もういいわよ。どうせ私達世間の笑い者になるんだから・・・」

「浅倉さんの息子、女の子妊娠させて、大学も将来も棒に振ったって・・・」

「おもしろおかしく噂されるのよ」

そこまで言うと智子は急に笑い出してしまった。
今の智子には平常心のかけらも無かった。

「妊娠?」

達彦は良介を見つめた。良介は黙って頷くだけだった。

「お兄ちゃん、大学行かないで奈津さんと結婚するって。だから試験も受けなかったって」

横から香織が説明した。

「本気か!」

「期待を裏切ったのは悪かったよ。でも俺の人生だから」

「親任せじゃなく初めて自分で決めた」

大人を主張する良介に智子が反論した。

「あなた、まだ18よ、じぶんで人生決める力なんて無い」

「力が無くても決めなきゃならない。だって父親になるんだから!」

その時、智子の表情がまた変わった。

「父親?・・・ねえ、本当にあなたの子なの?」

次は奈津に詰め寄った

「奈津さん、あなた今でも」

「いいえ!とっくにやめました」

「とっくにっていつ?」

良介が間に入ったが智子はやめようとしなかった。

「他の男が父親って可能性もあるんじゃない?」

「やめてよ、そんな言い方」

「疑われたってしょうがないじゃない!そういう商売してきたんだから」

「間違いないよ!俺の子だよ!変な事言わないでくれよ!」

「男に何がわかるっていうの!」

今度は達彦が割って入った。

「一度親御さんを交えて話をしたほうがいいな・・君のご両親は?」

「・・・いません」

「亡くなった・・ってことか?」

「わかりません・・・」

中途半端にとれる返事に智子が噛み付いた

「わからないって事があるもんですか!自分のお父さんとお母さんの事でしょ!」

「世の中みんながこの家みたいに真っ当な家族やってるわけじゃないんです。」

良介でさえ奈津の家族の事は知らなかった。
何かの事情を抱えていることだけはわかった。



奈津が急によろけた。
体力も失っていたのに精神的にも無理をしたのがよくなかった。
良介がすぐに支えてくれた。

「嬉しかったよ。結婚しようって言ってくれて。でも、無理なものは無理なんだ」

「大丈夫。この子は一人で育てるから・・・」

自信なんかなかった。
そう言わないと、良介の未来を奪ってしまうことになる。
そうすることが一番なんだと言い聞かせていた。
もとより中絶する勇気もなかった。

「お騒がせしました」

奈津はそう言って出ていこうとしたが、またふらついてしまった。
もう立っているのも限界だった。

「大丈夫、奈津さん。ちょっと休んだほうがいいんじゃない?」

香織も奈津を支えに来た。
奈津は香織に支えられて、玄関の外へ出た。

「本気なの?一人で育てるって」

「十代のパパとママじゃ二人でも大変なのに・・・」

香織が奈津を介抱していると良介が出てきた。

「一緒に帰ろう、奈津ちゃん」

奈津はどうしてそこまでという顔で良介を見上げた。

「寝ないで、考えた結論なんだ、親に何言われたって曲げられないよ」

「俺が守るから、奈津ちゃんもお腹の赤ん坊も」

良介は香織に時々家の事を教えてくれるように頼むと奈津を連れて帰っていった。

香織は二人を見送りながら、何かわからない大事な気持ちを感じていた。


寝室で智子は自分の育て方が間違っていたのかと達彦に問いかけてみた。
達彦はあの年頃にはありがちな失敗だと言った。

「ありがちだなんて、そんな風に片付けないで・・・」

「あの子は純粋なのよ、だからあんな風に・・・」

「あいつなりに精一杯決心したんだろ」

達彦は奈津に中絶させると言った。
普通なら妥当な判断なのだろうが、智子は素直に賛同できなかった。
しかし、そうしなければ良介の未来が心配だった。

理屈と感情が対立する中で智子は何もわからなくなってしまった。


奈津と良介は仲良く並んで寝ていた。
二人は何度もお互いの気持ちを確認し合った。

「奈津ちゃん・・・親のこと本当に知らないの?」

奈津は無言で横を向いてしまった。

「・・・あ、いいよ。嫌な事は話さなくて・・・寝ようか」

今夜も寄り添って眠る事ができた。
ずっと一人だった奈津にとって、今が一番暖かい時だった。


朝になった。
智子は頭痛を訴えて、達彦と香織の朝食を用意するとまた寝室へ引き上げていった。

香織が起きてきた。

「あれ?ママは?」

達彦から事情を聞いて香織は智子の寝室へ薬をもっていった。
達彦も香織も出かけたあと、智子はリビングに降りてきてアルバムを眺めていた。

良介が自分の手から離れてしまいそうな寂しさに耐えられず、
写真の中の幼い良介や香織が自分の作ったお弁当を美味しそうに食べている姿で
昨夜の寂しさをまぎらわそうとしていた。

「・・・お弁当」

そういえば、今日は香織のお弁当を作っていない。
智子が急いでお弁当を作るとそれを持って香織の中学に向かった。

智子は門の入口で男子生徒を捕まえて訊いた。

「すいません。3年C組の浅倉香織知ってます?」

「浅倉だったら、俺達と同じクラスだけど」

「よかった、あの子にお弁当届けてくれるかしら?」

「やった!香織ちゃん弁当、今日俺貰い!」

「オークションでいこう!俺600円」

「ああ・・620円」

智子の目の前で香織の同級生だという二人は香織のお弁当を競り合いだしてしまった。

「あ、ちょっと・・・それ、どういう事?」

訳が分からず智子が尋ねると

「いつもお世話になってます。」

「マジうまいっす、お母さんの弁当」

そこへたまたま香織が通りかかった。
香織は智子と男子のやりとりに驚き、その場を取り繕うとした。

「具合悪いのに、わざわざ持って来てくれたんだ」

「あなた、食べてないの?自分で食べないで男の子たちに?」

「たまに食欲無いときに」

「嘘おっしゃい・・売り物にしてたのね・・」

「あなたが美味しそうに食べてる顔思い浮かべながら・・毎日々・・・」

良介の次は香織だった。
智子はもう何も信じられなくなっていた。

「ママ、あのね・・」

「もう、何も聞きたくない!」

智子は香織の手からお弁当をひったくると力いっぱい地面に叩きつけた。
とてもにぶい音がした。

智子の心の闇はまた一回り大きくなった。
そしてその闇が智子をあらぬ方向へ導こうとしていた。
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